日本くまもり協会兵庫県本部の室谷悠子会長からメッセージが届きました。

日本くまもり協会兵庫県本部の室谷悠子会長からメッセージが届きました。

北海道のみなさまへ

日本くまもり協会 会長 室谷悠子(弁護士)

 北海道は、開発が進んでしまった本州の多くの地域と比べると、今なお原生的な自然が多く残されており、私たちは訪れる度に大感動します。北海道の自然は、日本の宝です。かつ、北海道は、日本の食糧庫でもあり、北海道の皆さんの農林漁業により私たちの食生活が支えられています。そんな道民のみなさんとつながって、力を合わせて、広大な北海道の自然やヒグマをはじめとする野生動物たちを守りたいと思います。

 これだけ科学技術が発達した今も、そして未来永劫に、私たち人間は自然に生かされているだけに過ぎない存在です。自然界は、無数の生物による絶妙のバランスの上に成り立っており、人間が管理したりコントロールしたりできるものではありません。自然保護活動とは、物言わぬ自然への畏敬と感謝に基づき、自然を破壊しすぎないように人間活動をコントロールすることであると私たちは考えています。

 日本くまもり協会は、全生物のために、次世代のために、豊かな水源の森を保全・再生しようと、日本最大の大型野生動物で水源の豊かな森を守っているクマをシンボルに、1997年に設立した完全民間の実践自然保護団体です。
現在、兵庫県本部以外に29都道府県に支部があります。日本列島は南北に長いため、地域によって気候も風土もかなり違います。そのため、その土地に住む皆さんが、その土地に合った自然保護活動を展開する必要があり、日本くまもり協会の活動を進める上で支部はとても重要です。鈴木ひかる支部長のリーダーシップで、北海道でもすばらしい支部活動が展開されていくことを期待しています。

 日本くまもり協会はこれまで、地元の皆さんをはじめ、行政や猟師、森林組合の方々とも連携して活動してきました。スギやヒノキの奥山人工林を伐採し、自分たちで汗を流して実のなる広葉樹を植え、クマたちの餌場を各地で再生したり、山の実りが悪くてクマが集落に出て来る年は、人身事故が起きないように、農作物に被害が出ないようにと、ボランティアで草刈りやカキの実採りをしたり、電気柵張りを手伝ったりして、地元のクマ被害防除対策を支援する活動も続けてきました。
これ以外にも、日本にも自然が守れる法律や政策を作ろうと、各省庁や国会及び地方議員にも声を届け続けています。

 ヒグマに関しては、北海道はヒグマ根絶をめざして、春に冬眠から目覚めたヒグマを追いかけてわなや銃で駆除する「春グマ駆除政策」を長年続けていました。その結果、このままいくと絶滅するのではないかという数にまでヒグマの生息数が低減したため、道庁は1990年にヒグマとの共存をめざす政策へと方向転換しました。その結果、ヒグマの数は少しずつ戻り始めたようです。
 しかし、近年、ヒグマと人との軋轢が増えてきました。昨年度、北海道知事はクマを指定管理鳥獣に指定してほしいと環境省に要望するなど、再び捕殺を強化しようとの動きを進めています。
 しかし、クマと人の問題は、クマだけに原因や責任を求めるのではなく、人工林政策や開発など、様々な人間活動が絡んでおり、解決には多くの人々の叡智を結集する必要があります。

 最近の北海道の問題としては、首都圏に電気を送るため、メガソーラーや、陸上・洋上の風力発電など、北海道が再生可能エネルギー(以下、再エネ)事業の草刈り場にされていることです。北海道だからこそ残っていた大自然を大規模に破壊する再エネ開発計画が目白押しです。再エネ事業は都市やビルの屋上など、新たに自然を破壊しない場所に限られるべきです。自然破壊型の再エネ事業を止めようとがんばっておられる北海道の勇気あるみなさんとも、日本くまもり協会は連携しています。

 最後になりましたが、北海道の皆さんに、北海道の自然を守る勢力を大きく育てていただきたいと願っています。今後とも、なにとぞよろしくお願いします。


団体概要
一般財団法人日本熊森協会は、兵庫県本部の他に、全国29都道府県に支部があります。令和6年現在約21000人の会員たちが、当協会の活動を支えたり応援したりしてくださっています。

ご入会等は、一般財団法人日本熊森協会 本部まで 
https://kumamori.org/member.html
〒662-0042 兵庫県西宮市分銅町1-4 TEL 0798-22-4190 FAX 0798-22-4196

北海道での支部活動についてのお問い合わせは、
080-4761-7117 北海道支部長鈴木まで

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