日本熊森協会顧問 北海道野生動物研究所所長 門崎允昭様より
「熊対策の基本」をご寄稿頂きました。
熊対策の基本
①熊の居るような場所に行く場合の注意
北海道の羆も本州に居る月輪熊も、稀ですが人を襲い喰う事が有ります。ですから、熊が居る様な」場所に、行く場合には、その対策をして、行くべきです。
熊類は動物分類学で食肉目(ライオン、トラ、等)に属し、人を食べ物として、襲い喰う事が有るのです。=これは、自然の摂理として、異常な行為ではないのです。
故に、それを防ぐ準備=武器=鉈が最適。=熊は(羆も月輪熊も)は人を襲う時、抱きついて襲うので、柄が長い刃物は不適です。
アイヌはタシロ(鉈と同じ刃物)と、それより、少し小形のマキリ(小形の鉈)を、熊に襲われた場合の、武器として左右の腰に分けて着けて、隣の家に行く場合でも、常に携帯していたといいます(萱野;アイヌの民具P.25-27)。
アイヌが武器を左右の腰に携帯したのは、熊に抱きつかれた状態で襲われた時に、左右いずれかの武器を腰から手で引き出し、熊に反撃するためであったと言います。
熊は刃物で反撃されて、少しでも血が出るような傷を受けると、人を攻撃する事を止めるのです。
②それ故、私が皆さんに推奨し、実行して戴きたい事は、熊が居るような場所に、行く場合には、先ず「、ホイスル」と「鉈」を携帯する事を、実行して下さい。鈴やラジオは風や流水が強いと聞こえない故、不適です。
③熊除けガススプレイは、本気で人に襲い来る熊には全く無力です。熊はガスで吹きつけられていても、人を襲い続けるのです。
所で、熊が人を襲う「原因目的理由」は3項目あります。
その① 人を「食べる目的」で襲う事があります。
その② 人をその場から、「排除するために」襲う事があります。
その③ これは満2歳の熊に限られての事ですが、「戯れ・や苛立ち」から襲って来る事があります。
④人の日常的な生活圏(市街地等の)に、熊が出て来る事に対する対策
人の日常的な生活圏(市街地等の)に、熊が出て来るのを、防ぐには、山林と市街地との境界に、境界沿いに有刺鉄線柵を張り巡らせて、有刺鉄線柵を越えて市街地に出て来させない対策をこうずべきです。外国では、そうしている国があるのです(例えば、Australia)。
日本熊森協会顧問
北海道野生動物研究所所長 門崎允昭氏 寄稿(了)
また、人と熊との共存について、
(1)熊が居そうな場所には、常に「ホイスル」と鉈を携帯する。
(2)熊が人の生活圏に出て来るのを防ぐために、熊の生息圏と人の日常的な生活圏の境界に「有刺鉄線柵を」全国的に張り巡らせる。
上記2点を常に啓発するように、とのお言葉を頂戴いたしました。
日本熊森協会北海道支部でも、啓発活動に努めて参ります。